私の絵本体験記
「絵本フォーラム」52号(2007年05.10)より
「心の奥底からよみがえる温かな感覚」
神富 瑞穂さん(東京都大田区)

  「ママ、これ読んで!」 1 歳8ヶ月の娘、葵は毎日色々な絵本を持って私のところへやって来ます。外では私の手を振り払い勝手に歩いて行こうとする娘も、絵本を読むときは必ず私の膝の上。私たち親子の幸せなひとときです。

私が小さい頃読んでもらった懐かしい絵本、図書館や本屋で見つけた絵本などを、娘がまだ首の座らない赤ちゃんの頃から読み聞かせ続けてきました。そのせいか娘も絵本が大好きです。しかし以前はじっと見聞きしていていた娘も、意思がはっきりしてきた頃から興味のない絵本には見向きもしなくなりました。図書館へ行っても「これがいいの?」と思うような絵本を持って来るのです。絵本選びに行き詰まりを感じていた頃に出会ったのが「ほるぷこども図書館」でした。様々なジャンルでバランスよく揃った絵本たち。私の本選びの偏りを実感しました。

たくさんの絵本が届いた日の、娘の嬉しそうな顔は忘れません。その日、外は大雨でした。部屋中に絵本を広げ、夜になるまで二人で夢中になって読みました。
今日も娘は楽しそうに、色々な話をしてくれます。
お散歩をしている時、空を指差しながら「くもさんのなかで、きれいになった」
キャベツを抱えながら「ほうたい、もってきたよ、どうぞ!」
パン屋でバゲットを見ると「ねずみさんのパンだよ」

そんな娘の言葉を聞くたび、彼女が絵本の魅力や感動を全身で受けとめ、心豊かに育ってくれている事を嬉しく感じます。そして自分が忘れてしまっていた、どこか温かな感覚が、心の奥底からよみがえってくるのです。

この先、娘が私の膝の上に座らなくなり、本も「自分で読む」という日がくるのでしょう。その日がくるまで二人でたくさんの絵本と出会い、幸せな時間を共有していきたいと思います。

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