リレー

陽だまりのような温かい思い出
( 山形・尾花沢市立おもだか保育園園長 ・ 鈴木哲子 )


 私たちの保育園は自然に恵まれた環境にありますが、身近な里山にもサルや熊が出るようになり自然に親しむことも難しくなっています。

 人間は動物や植物の命をいただいて生かされていることを子どもたちに感じてもらいたく、野菜作りや川魚を捕まえて目の前で焼いて食べる体験等をしています。

 また、温かい心を育むため「親子読書」や読み聞かせも大切にしている活動です。

 保護者の皆さんの理解と協力のもとに購入しました「ほるぷこども図書館」(4コース)は大活躍しています。

 市立保育園の保育研究会があり、私たちの保育園では0歳児を担当しました。当日、0歳児 10人に『くだもの』(平山和子/作、福音館書店)の読み聞かせの場面があり、保育士がページを開いて赤ちゃん一人一人に「さあ どうぞ」と絵本を差し出すと可愛い両手で頂き食べる仕草をしてました。その時、保育士に抱っこされて聞いていた十ヶ月の赤ちゃんが声を出して「わたしにもちょうだい」と言わんばかりに身を乗り出した姿を見て驚きました。

 参加者はこの保育実践で0歳児でも絵本の内容を理解して聞けることを学び、絵本の読み聞かせや語りかけがどれほど大切であるか話し合われました。

 その子たちが1歳児のクラスに上がった時にはお話がしっかり聞ける子どもたちに成長しておりました。

 絵本の読み聞かせが子どもたちが大人になった時、陽だまりのような温かい思い出になってくれることを願っています。

絵本フォーラム52号(2007年05.10)より

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