私の絵本体験記
「絵本フォーラム」49号(2006年11.10)より
「いくつになっても読んであげたい」
大泉 真奈美さん(宮城県角田市)

  地元の図書館主催の、ほるぷフォーラムによる「絵本の出前講座」に初めて参加したのは去年。講座のお話は、すべてがとてもためになる、充実した内容でしたが、中でも、実際に読み聞かせをしてもらうという経験は本当に新鮮でした。
  その何とも言えないうれしさと心地よさに、私は夢中で絵本に見入っていました。また、大人よりも子どものほうが、絵の観察力があるという実験のような質問も衝撃的でした。読み聞かせの後、絵を見ていれば簡単にわかる質問をされたのですが、だれ一人答えられなかったのです。
  しかし、子どもなら、ほとんどの子が正解するといいます。字が読めない分、絵だけを真剣に眺めるからなのだそうです。“絵本は読んであげる(もらう)もの”と言われるゆえんはそこにあるのでしょう。字が読めないからこそ、絵から純粋に得られる何かがきっとあるのだと思います。その経験は、1人で絵本が読めるようになってからもなお、生き続けることでしょう。
  現在、「ひよこコース」の絵本を子どもと楽しんでいます。子どもの重さ、ぬくもり、においを感じながら共有する時間は、何ものにもかえがたい幸せです。
  絵本の質、そして量が、子どもだけでなく、私や家族の心を豊かにしてくれているのを実感しています。子どもが望むなら、いくつになっても読み聞かせをしてあげたい。それが子どもにとってもかけがえのない思い出となってくれたら、こんな幸せなことはないと心から思います。

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