リレー

感動−二つのこと−
(広島・おのみち学校で本を読む会「ルピナス」会員・藤野 八洲子)



 私は「ルピナス」というグループで幼稚園、学校、子育て支援等で読み語りをし、たくさんの感動をもらっています。その中から二つのことをお話ししたいと思います。
  先日、低学年の先生から「今、子どもたちは『ルピナスさんごっこ』といって、ルピナスの皆さんのやり方をまねて、絵本の読み聞かせごっこをしているんですよ」と言われ、その様子を想像してうれしく思っていました。
  すると、それと同じことを幼稚園4歳児もやっていたのです。1人の子の前に7人の子どもたちが座り、私たちのまねをして絵本の読み聞かせをしています。読む子も聞く子も大まじめ。「時々、こうして絵本を読んでいるんですよ、『ルピナスさんごっこだ』と言って」先生も笑顔で話してくださいました。
  多分、字は読めなくても、絵を見て想像してお話をつくりながら……。聞いている子もその話に浸りきって……。
  もう一つは、1歳4カ月までの赤ちゃんとお母さん(12組)の子育て支援の会でのことでした。
  赤ちゃんだって、じーっと素話を聞くことができるのです。お母さんのためにと、仲間が「鳥呑爺(とりのみじい)」を語ったのですが、「あやちゅうちゅう こやちゅうちゅう……」言葉の響き、リズム、繰り返し、あたたかい音声、それらが心地よかったのでしょう。
  赤ちゃん全員が身じろぎもしないで、最後までじーっと聞き入っていたのです。もちろん言葉の意味もわからないでしょうし、お話を想像することもできないでしょう。でも、機械音ではない、人の生の声で語りかけることで赤ちゃんも安心し、じーっと聞くというすばらしい姿勢を続けることができたのだと思います。
  ちなみに、このお母さんたちは絵本と語りかけを大切にし、赤ちゃんと一緒に絵本をよく見られるそうです。
  この二つのことから、子どもは大人のまねをしながら、大人とのふれあいを通して大人になるのだと改めて思いました。
  子どもたちの未来に悲惨なことがなくなることを願いながら……。

絵本フォーラム49号(2006年11.10)より

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