リレー

「1日の終わりを読み聞かせで」
(福岡市・元主任保育士・大久保笑香)


 
  絵本の貸し出し日を心待ちにしていた子どもたちは、その日、ワクワクした気持ちで登園し、ブックカバー(布の手提げ袋)を手に、「ほほえみ文庫」の部屋にやってくる。
  既に借りたい本が決まっていて、懸命に目当ての本を探す子、本棚から取り出したり、戻したりしながら絵本を選ぶ子……。そばにいて子どもの気持ちが肌で感じられる。

  ほのぼのとした時が流れて、「あった!」「これにしよう」と決まった瞬間の顔は、みんな輝いていて、こちらのほうもうれしくなる。子どもと一緒に幸せを感じる瞬間だ。
  借りる絵本は、子どもの発達や興味、絵本体験で異なるが、家にある本や、一度読み聞かせてもらった本が案外と多い。また、2カ月続けて同じ本を借りていく子どももいる。

  繰り返し見ることを喜んだり、内容がわかっていて、次のページが想像できることに安心感を味わったり、子どもによって楽しみ方はいろいろだが、1冊の本を間にして親子の会話を膨らませ、絵本の楽しさ、おもしろさを共有してほしい。子どもが眠りにつく前の数分間、添い寝をしたり、ひざの上に抱っこしたりして、今日頑張った子どもへのごほうびに、「1日の終わりを読み聞かせで」と呼びかけている。

  絵本大好きな子どもが1人でも多く育つよう、絵本環境を整えて、自分自身が感動した本や、いろいろなジャンルの絵本を子どもたちへ届けていきたい。

絵本フォーラム48号(2006年09.10)より

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