私の絵本体験記
「絵本フォーラム」46号(2006年05.10)より
安心して眠りにつけるね
森上 奈帆子さん(大阪府池田市)

写真  息子を出産したのが4年前。睡眠不足で、我が子のかわいい寝顔を眺める余裕は、当時の私にはなかった。息子は乳幼児期を過ぎても寝つきが悪く、眠りが浅かった。外遊びが足りていないんじゃないかと言われれば、毎日のように公園や長距離散歩に連れ出した。
 しかし、相変わらずなかなか寝つけず、「今日は寝ない」と毎晩言い張っていたのだ。息子は眠ること、目を閉じることがとてつもなく不安なんだな。そう感じた私は、子守歌を繰り返し歌い、子どもが安らぐクラシックCDを小音で流したりしたが、親の私が眠たくてもたない。挙げ句の果て、彼は「ママ、目を開けといて! 寝たらあかん!!」と泣き叫ぶ始末。何度、夜道を車に乗せて寝かしつけたことか……。
 絵本は、私自身、幼いころに両親から読んでもらっていたのだが、母は途中ですっかり処分し、私もすっかり忘れてしまっていた。記憶をたどり、時々書店で買っていたが、我が家には完全に絵本が不足していた。
 そんな折、プレスクールに通っていた幼稚園でほるぷフォーラムの講演会があり、『ほるぷこども図書館』と出会った。以降、1コースずつ購入し、今では娘も加わって、家族全員、絵本のない生活は考えられない日々を送っている。
 帰りが遅く、休日もままならない主人は、毎朝1冊、読み聞かせてから出勤。寝かしつけのときは私が、読んでほしいと言うだけ読んでやっている。きっと私たち夫婦のほうが、懐かしい絵本に再会できたり、声に出して読んでやることで癒されているような気がする。その穏やかな空気が伝わってか、息子は安心してストンと寝入るようになった。
 これからも親子でたくさんの絵本に出会い、読み聞かせで子どもたちとぬくぬくとした貴重な時間を共有していきたいと思う。
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