いつからだろう? 我が子に絵本の読み聞かせを始めたのは……。いつの間にか寝る前には必ず絵本を読む生活になっていた。娘が0歳か1歳の頃、寝かしつけるためのひとつの道具だったように思う。
娘が2歳になる頃、長男が生まれた。赤ん坊を私の胸の上に寝かせ、あやしながら娘と絵本を楽しんだ情景は今でもはっきり目に浮かぶ。楽しいけれど早く寝てほしい母の気持ちを知ってか知らずか、娘はなかなか寝てくれない。そのうち私の方が先に寝てしまうことも。
長男は『はらぺこあおむし』がお気に入りで、彼がおしゃべりする頃には丸覚えしていた時は驚いた。子どもたちが絵本を選ぶようになると、毎晩「これよんでー!」と競いあい、何冊もの絵本を枕元に積み重ねる。そのうち娘が弟に絵本の読み聞かせをするようになった。まだ字が読めないので、ストーリーも少々彼女のアレンジ。それでも弟は喜んで聞いていた。その姿は本当に愛しく思った。
たくさんの絵本に出合い、物語の中で遊び、登場人物の気持ちに寄り添う中で、喜び、悲しみ、怒りなど様々な感情を経験したようだ。こころをこめて「ことば」を伝えられる、人の気持ちを受け取れる、そんな心豊かな人に育ったと思う。親バカだけど、本当にすてきな良い子に成長したと感じている。
周りから「仲の良い姉弟、親子だね」とよく言われるが、きっと絵本の力が大きかったと、子育てをそろそろ終える今、思う。子育て中に絵本があってよかった。絵本たち、ありがとう。
(たにむら・かよ)
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