おすすめ絵本

「絵本フォーラム」第106号(2016.05.10)









さるとびっき 山形の昔話

『さるとびっき 山形の昔話』 
武田正/再話 梶山俊夫/画 福音館書店

 ある日、さるがびっき(蛙)のところへやってきて、一緒に田んぼを作ろうと言います。ところが、さるは、肩や頭や腹や歯が痛いと毎日言い訳を言って、お米作りを手伝おうとしません。お米ができると、さるはまた、ずるいことを考えますが、失敗して痛い目に合います。鳥獣戯画を思わせる自由で表情豊かなびっきとさるの絵がユーモラスなストーリーを巧みに表現しています。「こどものとも日本の昔話10のとびら」の一冊です。
(税込価格972円)


ひみつのいもうと

『ひみつのいもうと』 
アストリッド・リンドグレーン/文 
ハンス・アーノルド/絵 石井登志子/訳 
岩波書店

 バーブロには、自分だけに見える秘密の妹イルヴァ・リーがいます。おかあさんは、春に生まれた弟が大好きですが、妹はバーブロが一番好き。イルヴァ・リーは、バラのしげみの後ろの穴を降りたところにある国の女王で、二人はプードルと遊んだり、金の広間で水浴びをしたり、馬に乗ったりして遊びます。けれど、バーブロが家に帰るとイルヴァ・リーは消えてしまいます。バーブロの空想世界が色鮮やかな絵で描かれています。
(税込価格1512円)









それでも、海へ 陸前高田に生きる

『それでも、海へ 陸前高田に生きる』
安田菜津紀/写真・文 
ポプラ社

 陸前高田市の漁師である菅野修一さんは津波被害を目の当たりにして「もう、海に出るのはやめよう」と思いました。ところが、孫のしゅっぺが「じいちゃんがとってきた白いお魚がもう一回食べたい」と言ったことから、漁を再開し、捕れた魚は近所の人に分け合いました。そして、少しずつ町に活気が戻って祭りも行われるようになりました。じいちゃんが海と対峙している写真は読者に「生きる」ことの意味を問いかけています。
(税込価格1620円)


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