私の絵本体験記

「絵本フォーラム」104号(2016年01.10)より

ママ、絵本読んで

柴田 美香(神奈川県川崎市)

  ママ、絵本を読んで私は幼少の頃にあまり絵本を読んでもらったことはない。家には数冊の絵本があるだけだったように記憶している。そんな私は、子供が産まれるまで絵本を読む機会はなく、絵本のない生活を送ってきた。息子が産まれた時、一冊の絵本を買ったきっかけも「一冊ぐらいあったほうが良いだろう」という程度の考えだった。

 そもそも絵本というものは、いわゆる「子供向け」で大人が読んだら退屈なものという印象であった。しかし、生後半年ほどの息子に読んでみると、私の膝に座りじっとみているのである。「この子は絵本がすきなのかな?」と。好きならばもっと色々な本を読んであげようと、絵本を選ぶのも楽しくなったのが私の生活に絵本が登場した始まりである

 息子は成長がゆっくりで言葉の出るのも遅かったせいもあり、反応という反応はあまり感じることはなかったのだが、現在4歳になった息子はとても絵本が好きなのだ。「ママ、絵本を読んで」と言われると、あの頃も息子との暖かい時間を持てていたんだなと思えるのだ。

 絵本と向き合うようになってから思い出したのだが、私の幼少のころ、母は布団の中で物語を聞かせてくれていた。母の作り話でった為、あまり内容は覚えていないが私はその時間がとても好きだった。

 絵本がなくても多分、私の日常は流れていく。けれども絵本があると心は豊かになる。9月に第2誌を出産した。にぎやかになっていく我が家。そこに絵本があるから、子供はより愛おしく、子育てはより楽しい。
(しばた・みか)


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